偽装問題の企業が入っているビル
(神保町三井ビル)
ビル全景
ビル入口
現役時代勤務していた企業が入っているビル
ビル全景(左端は霞ヶ関ビル)
現役時代に関わっていたのは合成繊維業界である。日本では大手企業三社が常に競合して来ている。その一つの企業の子会社で杭打ち偽装の問題が出ている。大学卒業当時同級生二名がこの企業に就職している。当時はこの三社の中で売り上げが最も少ない企業であったが、その後トップの売り上げにまで成長した。
これは事業の多角化に成功したことによる。化成品、医薬、そして住宅などの事業に拡大した。この住宅事業の中核子会社が今問題になっている企業である。住宅事業はこの企業の売上、利益に大きな比重を占めている。
昨日、親会社社長、子会社社長などが出席して記者会見を実施、そのテレビ報道を見た。親会社社長は偽装の事実を認め、今後の補償などは責任を持って果たすと言明していた。しかし、杭打ち業務は、別の会社からの出向社員が実施しており、その詳細は対策委員会を立ち上げ調査するという。
今回の親会社の社長は昨年社長になったばかり、しかも薬学博士で医薬事業出身であるという。10年も前の問題が今明らかになり、その責任を果たさなければならない。組織のトップとしては当然の話ではあるが、まことに不運としか言いようがない。先日の政治献金に対する裁判の結果では、部下は有罪になったが責任者である政治家は無罪ということになった。そのためか議員を辞職するなどの責任を取る動きは全くない。この例のように、政治家、官僚、公務員などのトップが部下の不祥事に対して責任を取ることはほとんどない。まったく対照的である。
現役時代子会社のトップにいたとき、会社が利益を出すように運営することももちろんであるが、もっとも気にかけていたことは、火災、爆発、けが、死亡などの事故、それに不祥事を起こしてはならないということであった。任期中大過なく対応できて、退任の時にはホットした思い出がある。今回親会社社長と子会社社長の謝罪会見の光景を見て、運が悪いと同じような立場になっていたかもしれないと想像すると、今ぞっとする思いである。
問題の企業に就職していた同級生二人もすでにリタイアしているが、今同じ気持ちではないかと思う。