今年もようやく桜が満開になった。3月末から4月はじめにかけて寒い日が続き膨らみかけていたつぼみが硬くなっていた。数日前から暖かくなりすっかり春の季節になった。東京のマンションに住み始めて30年弱になる。
30歳にして東京に転勤になり、まもなく自宅を確保すべくいろんなところを探して回ったが、我々団塊の世代が大挙して住むところを購入しだしたときでもあった。霞ヶ関への通勤の便利なところということで都内のマンションを探したが、いつも希望者が多く抽選であった。何回もいろんな場所の申し込みをしたが落選ばかり。そういえば大学受験もある受けた大学は競争率40倍であった。今では考えられない数字であった。住むところを購入するのも競争になるとは思いもよらなかった。
その結果やっと当選したのが今のマンション。ちょうど入居したのが3月でこの桜はその時から美しい花を咲かせてくれている。当時の幹は小さいものであったが、今では40~50cmはある。堂々とした木に成長した。秋には葉が紅葉し、春と秋の2度美しい光景を楽しませてくれている。
ところで30年ほど前、このマンションに入居してまもなく駐車場に真っ赤な新車のポルシェがあるのに気がついた。運転手が近くから訪れて運転しているようであった。だれが乗っているのであろうかと思っていたが、この持ち主である住人はビートたけしであった。当時のその運転手が東国原宮崎県知事であったことは、知事に当選しテレビで昔話をしているのを聞いて知った次第である。知事は近くに下宿していたという。
最初はあまり知られていなかったがまわりに知れるところとなりファンがうろうろするようになった。奥さん、子供と一緒に住んでおり、わが子供、妻とも仲良くしていた。家にお邪魔しその当時のタケチャンマンのぬいぐるみで遊んでいる写真が残っている。そしてまもなく白亜の大御殿に引越して行った。
このような思い出もついこの間のように思い出される。5年ほど前には全面的リニューアルをして、バリアーフリーの構造に改造され新しい美しいマンションに生まれ変わっている。東京自宅では部屋から見下ろす形で花見が楽しめる。これからも毎年この桜が春を知らせてくれることを楽しみに過ごしたいと思う。