2014年10月7日火曜日

青色LED



シャンンゼリゼ通りイルミネーション(パリ、昨年撮影)

クリスマスイルミネーション(エッセン、昨年撮影)

クリスマスマルクト(エッセン、昨年撮影)

ライン川遊覧船(デュッセルドルフ、昨年大みそか)

  今年のノーベル物理学賞は青色LEDに与えられた。自然科学関連のノーベル賞候補者は日本にはたくさんいるがその本命の一つにようやく決まった。世界的に評価されている、カーボンナノチューブ、光触媒、リチウムイオン電池、ガス吸収多孔性高分子材料、iT細胞関連など実用を拡大すべく開発が続いており、これからも受賞が期待される。

  青色LEDについては昨年クリスマスシーズンにパリはシャンゼリゼ通りを久しぶりに訪れた時、そのイルミネーションが見事な青色で飾られているのを写真におさめている。以前20年ほど前にも訪れているがそのイルミネーションは当時は電球であった。色は白に近い色で鮮やかさは今のLEDにははるかに及ばない。( http://tsukubanite.blogspot.jp/2013_12_01_archive.html#991979675027191752 )

  エジソンによる電球の発明から100年以上たつ。人類の光を作り出す技術の革命である。いつもの持論であるがこのような大発明、大発見はその仕事に没頭する絶え間ない興味がなければありえない。セレンディティピーといわれる偶然による発見も仕事に集中しているからこそ気づくのである。政治家のような詭弁も含めた見かけの論理により物事を進める姿勢とはまったく別のものである。世の中どんな人にも大発明、大発見はあり得る。今回地方の国立大学出身者が賞に輝きその証明にもなったようだ。

  今年は新年早々詐欺まがいの研究発表により日本の科学技術界を揺るがす出来事があったが、ノーベル賞の授与で本来の日本の研究者の真摯な人格を世界に発信できひと安心である。

  受賞者の一人はもともと企業での業績が評価された。その成果に対する報酬はほかの社員とほとんど変わらずわずか数万円の報奨金であったという。研究者、技術者が会社に大きな利益を生み出す業績を出しても今まではせいぜい数十万程度の報奨金で済ませていたのがほとんどである。

  若いころ出した特許が他社に売れたとき、一時金として数億円、その会社の製品1台ごとに数万円の特許使用料がわが社に入ることになった。最終的に全額いくらの価値になったかは知らないが、いただいた報奨金はわずか10万円であった。とにかくほとんどの研究者、技術者が特別な恩恵もなく普通のサラリーマンとして定年退職している。そのような背景から、退職後発展途上国からの誘いがあればその誘いに乗る人が多かった。短期でも数千万円の年収を言われれば引き受けることになったようである。身近の知り合いでもそのような人がいた。

  中国、韓国がいとも簡単に日本の技術を取り入れられたのは、これら日本の技術者からのノウハウの伝授が効いている。製造機械は日本の機械メーカーから導入することができ、また材料も日本製を買えば可能である。残るはいかに設備を動かし、製造などのノウハウを作るかであるが、自分たちで独自で作るには時間と労力、それにアイデアが必要である。しかし、技術者を引き抜くことで簡単に目的を達成できる。

  日本の発明が世界的に広まることは望ましいけれど、日本の産業が栄えることも重要である。それには技術が簡単に漏れることを防ぐため、製造技術のブラックボックッス化と研究者、技術者の処遇向上をはかることが必須であると考えている。過去の失敗を繰り返さないことを願っており、国あげての戦略作りができないかと思う。