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中心広場
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スパゲッティフルーティディマーレ
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スパゲッティアリオオリオ
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ドウモ
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中心街
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旧イタリア工場入口とのこぎり屋根工場跡
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新しいカンバン
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事務所跡(左)
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染色工場跡
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水田(リゾット)
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水田(リゾット)
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20年ほど前、ヨーロッパ駐在時代の仕事上の大きなプロジェクトにヨーロッパ工場建設があった。ヨーロッパのどこに建設するか大きな課題であったが最終的には繊維産業の活発なイタリアに決め推進した。その工場建設の場所が
ベリチェリであった。
しかし、完成後繊維産業のみならず製造業はこの20年で大きく動いた。世界に羽ばたいた日本製品が韓国、台湾、中国にとって代わって行ったのである。イタリア工場もその影響を受けて事業は続かず、結局撤退との結末となった。その後のことが気になり訪れることにした。
プロジェクトに携わっているときは毎日が忙しくゆっくりとベリチェリの町を見て回ることはなかったが、今回は町の中心でゆっくりと昼食をとって過ごした。イタリア本場のスパゲッティを久しぶりに食べた。中心部には教会広場、ドウモなどイタリアならではの街並みが見られる。
昼食後さらに車を走らせて旧工場の地に着いた。ベリチェリはイタリアリゾットの産地でもあり、その工場の回りには水田が広がっている。日本のように田植えではなく、直播のようである。緑の稲が一面に広がっていた。看板がイタリア語でなければ日本と間違えてしまう。
ウォータージェットなどの織物工場であるのこぎり屋根の工場と平屋の染色工場の跡はそのまま残っていた。現在はイタリアの金属加工会社のカンバンが掲げられており、業種としては変わってしまっている。
その昔、新合繊として日本で製造された合成繊維織物が世界でもてはやされ、ビジネスとして隆盛を極めていた。このため現地生産をめざしイタリアに工場を建設するに至った。残念ながらこの隆盛も長くは続かず、他の技術分野と同じように日本の技術が簡単に発展途上国に移り、価格競争の点で一般的なビジネスは難しくなってしまった。
一方同じようにヨーロッパに合成繊維織物工場を建設したもう1社は今もイギリス、チェコ工場で生産した商品でビジネスを続けている。その差は、価格競争ではなく、たとえばイギリスのマーク&スペンサーとのコラボレーションにより新しいニーズに合ったものつくりを共同で進めて新しい市場を開拓していることではないかと思う。このような関係は日本でもユニクロとのコラボで成功し、今ではこの会社は繊維事業が一番利益が出るという。
会社経営のやり方によりこれほど大きな差が出るのには驚かされる。結局は繊維事業を化学会社としての意識で経営するか、繊維テキスタイル会社として経営するかの違いではないかと考えている。もう一社はもちろん化学会社としても世界でも有数の会社であるが繊維事業に関しては真の繊維テキスタイルの専門家が経営してるということではないかと思う。