2010年10月8日金曜日

グラフェン


今週はノーベル賞の話題が多かった。長年勤めていた会社に在籍していた方も受賞し他人事ながら嬉しい週であった。
しかし、今回の化学賞の対象になった反応を最初に考え出し物作りをした人は別人であることも知った。勤めていた会社の同僚が大学院時代その研究室の先生たちと研究し論文も海外を初めいろんな学術誌に載せたとのこと。すでに当時の先生は故人となり、受賞を伝えるニュースでも最初の発想はその方であることを紹介していた。
その後、より効率的に低コストを実現する技術を開発したことにより工業的に利用されるようになり今回の受賞となったものと思われる。身近にノーベル賞級の研究をしていた人がいることを知り世の中狭いものと感じた。
一方、物理学賞は英国のグラフェン研究者に与えられ、我々カーボンナノチューブに関わるものとっては残念との思いである。世界で初めてカーボンナノチューブの詳細構造解析・特性を明らかにした飯島博士には与えられなかった。我々研究機構の顧問でもあり、産業技術総合研究所ナノカーボン研究センター長でもある。
グラフェンはその後発見され、チューブではなく平面状である点違うが、カーボン結合は全く同じで、フラーレンと共に同類のもの。フラーレンもすでにノーベル賞を授与されておりチューブだけは残念ながら与えられていない。
これら3兄弟ともまだ大きな具体的用途は開発されておらず、ナノチューブは我々研究機構の成果次第で認知されるのではないかと思い直し、もうしばらく微力ながら世のため励んでいきたいと思う。