放牧される馬(イタリアサルジニア島)ポーランド平原
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あの震災から1年経った。大津波の被害からの立ち直りはかならずしも迅速ではないが一歩づつ進んでいる。それに反して原発事故の今後は依然として不透明のまま、ますますいろんなところで対応の困難さが露わになっている。それにもまして4、5年後にはもっとも心配されている被ばくによる人的被害も現実のものとなるのだろう。ヨーロッパ駐在日記、1993年4月「イースター」に記載した文章を思い出す。
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「・・・・・・・・・・・・・・・・。自然の中では、人の考える事などちっぽけでわがままなもの。自然科学の世界ではこの人のはかない考えを実証主義により常に修正しわがままを押さえることにより、近代の自然科学の成果が得られた。実証主義が認められなければ、未だに人類ははかない論理、わがままな論理、都合の良い論理などに支配され、自然科学の世界は今のような発展はなかっただろう。
とはいえ、自然科学の世界でも人が知り得たのはほんのわずか。自然の神秘はまだ依然として大きい。試行錯誤がずっと続く。人は自然のなかで生きているということを忘れると、いずれ自然の大きな逆襲に会うのだろう。自然とともに生き、自然を守る。ドイツは少なくともそれをしなければならないと努力していることを今回も肌で感じた。」
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自然の逆襲が現実になってしまった。自然が人の愚かさを知らしめているようである。自然の前では人は無力であることを感じる。人類はいい加減に自然から学ばなければならないと思う。